Ubuntu 18.04 LTS(コードネーム: Bionic Beaver)は、2018年4月26日にリリースされたCanonicalのLong Term Supportディストリビューションです。標準サポートは2023年4月に終了しましたが、Ubuntu Pro(旧Ubuntu Advantage)に登録することでExtended Security Maintenance(ESM)が2028年4月まで提供されます。本記事では、Ubuntu 18.04 LTSのサポート状況と、Ubuntu 22.04 LTS・24.04 LTSへの移行方法について解説します。
Ubuntu 18.04 LTS のサポート期限一覧
| サポート種別 | リリース日 | サポート終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| 標準サポート(Ubuntu 18.04 LTS) | 2018-04-26 | 2023-04-30 | 終了済み |
| ESM(拡張セキュリティ保守) | 2023-05-01 | 2028-04-30 | Ubuntu Pro登録で有効 |
| レガシーサポート(Ubuntu Pro + Legacy) | 2028-05-01 | 2030-04-30 | 有償オプション |
Ubuntu LTS サポートポリシー
Ubuntu LTSはリリースから5年間の標準サポート(メインリポジトリのセキュリティパッチ)が提供されます。その後Ubuntu Proへの登録でさらに5年間のESMが追加され、合計10年のセキュリティカバレッジを確保できます。ESMはカーネル・主要パッケージだけでなく、universe リポジトリのパッケージにも適用されます。
基本情報・Ubuntu Pro(ESM)
- 最終バージョン: 18.04.6 LTS(2021年9月リリース)
- カーネルバージョン: Linux 4.15(HWE使用で5.4まで対応)
- Ubuntu Pro(ESM)の費用: 個人・非営利目的で最大5台まで無料。6台以上または法人利用はUbuntu Pro有償契約が必要
- ESM登録方法:
sudo pro attach <token>(Ubuntu Proポータルでトークン取得後)またはUbuntu Proポータルから登録。旧コマンドubuntu-advantageはエイリアスとして利用可能 - ESMの対象パッケージ: 標準リポジトリ(main)+ universe リポジトリのパッケージ
- 後継製品: Ubuntu 20.04 LTS(EOL 2030年4月)、Ubuntu 22.04 LTS(EOL 2032年4月)、Ubuntu 24.04 LTS(EOL 2034年4月)
サポート終了後のリスク
ESM未登録のままUbuntu 18.04 LTSを運用し続けた場合、2023年5月以降すでにセキュリティパッチが適用されていない状態です。ESM登録済みの環境でも2028年4月以降は以下のリスクが生じます。
1. セキュリティ脆弱性の放置
標準サポート終了後はカーネルおよびパッケージへのセキュリティパッチが提供されません(ESM未登録の場合)。CVEの公開から修正パッチ適用まで数日から数週間かかるため、その間の攻撃リスクが増大します。特にWebサーバー・データベース・SSHなど外部公開サービスへの影響は深刻です。
2. 新しいソフトウェアとの非互換
Ubuntu 18.04のglibcバージョン(2.27)や Python 3.6 は、最新のアプリケーションフレームワークがサポートを打ち切っています。Node.js・Ruby・Go等の最新版がインストールできなくなるほか、DockerイメージやKubernetesの新バージョンとの整合性も保証されなくなります。
3. コンプライアンス対応の困難化
PCI DSS・ISMSなどの認証では、サポート切れOSの運用に対して追加のリスク対応説明が求められます。クラウドサービス(AWS・Azure・GCP)のコンプライアンスレポートでもEOL OSは要注意フラグが立つため、監査対応コストが増大します。ESM期間中であっても、2028年4月以降に向けた移行計画を早めに立てることが推奨されます。
推奨される移行先
Ubuntu 18.04からの移行先は、現在の利用目的と今後の運用期間によって選択が変わります。新規構築であればUbuntu 24.04 LTS一択ですが、既存環境の引き継ぎではUbuntu 22.04 LTSが最も移行コストを抑えやすい選択肢です。
Ubuntu 22.04 LTS(推奨・既存環境の移行)
- サポート期間: 標準サポート 2027年4月まで、ESM 2032年4月まで
- メリット: Ubuntu 18.04との差分が最小。do-release-upgradeによるインプレースアップグレードが可能(18.04→20.04→22.04の2段階)。Python 3.10・OpenSSL 3.0に対応
- 適したケース: 既存のアプリケーションをできるだけ変更せずに移行したい場合、社内で検証済みのミドルウェア構成を維持したい場合
Ubuntu 24.04 LTS(推奨・新規構築・長期運用)
- サポート期間: 標準サポート 2029年4月まで、ESM 2034年4月まで
- メリット: Linux 6.8カーネル。Python 3.12・OpenSSL 3.0.13対応。Ubuntu 22.04より長いサポート期間で次の移行まで余裕が生まれる
- 適したケース: 新規サーバー構築、コンテナベースでアプリを刷新する場合
Amazon Linux 2023 / RHEL系(クラウド環境)
- サポート期間: Amazon Linux 2023は標準 2027年6月まで、メンテナンス 2029年6月まで
- メリット: AWS環境ならAmazon Linux 2023がEC2との統合が最もスムーズ。RHEL系ならAlmaLinux 9・Rocky Linux 9が無償の選択肢
- 適したケース: AWS上で運用中の環境でインフラをAWS最適化したい場合
移行時の注意点
インプレースアップグレードは18.04→20.04→22.04の2段階
Ubuntu 18.04から22.04への直接アップグレードはサポートされていません。do-release-upgradeを使う場合は、18.04→20.04→22.04の順で2回実行が必要です。各ステップで動作確認を行い、スナップショット取得後に進めてください。
Python 2.7・Python 3.6の廃止対応
Ubuntu 18.04ではPython 2.7とPython 3.6が標準でした。Ubuntu 22.04ではPython 3.10が標準となり、Python 2.7は含まれません。移行前にPythonスクリプトの互換性確認(2to3ツールの活用)と、virtualenv・pipenv環境の再構築が必要です。
MySQL 5.7からMySQL 8.0への変更
Ubuntu 18.04のAPTリポジトリはMySQL 5.7を提供していました。Ubuntu 22.04ではMySQL 8.0が標準です。認証プラグインの変更(caching_sha2_password)や予約語の追加により、既存アプリケーションで接続エラーが発生するケースがあります。事前にMySQL 8.0互換性チェッカーを実行してください。
ESM登録状態の確認
現在ESM未登録の場合、sudo pro statusでステータスを確認できます。ESM登録済みでも2028年4月の終了に向けた計画は今から開始することを推奨します。移行作業は小規模環境で3〜6ヶ月、中規模(50台以上)で6ヶ月〜1年を見込んでください。
サードパーティ製ソフトウェアの対応バージョン確認
Nginx・Apache・PostgreSQL・Redis等のサードパーティリポジトリを利用している場合、Ubuntu 22.04・24.04向けのリポジトリに切り替える作業が必要です。各ベンダーのインストール手順ページでUbuntuバージョンを確認してください。
物理サーバーの更新か、VPSへの移行か
Ubuntu 18.04を物理サーバーで運用している場合、OSの移行タイミングはサーバーハードウェアの更新サイクルと重なることが多くあります。ハードウェアの老朽化が重なるなら、Ubuntu 22.04・24.04への移行とあわせてVPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討する価値があります。
VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。