Red Hat Enterprise Linux 10(RHEL 10)は、2025年5月20日にリリースされたエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。Full Support(完全サポート)は2030年5月31日まで、完全なサポート終了(Maintenance Support EOL)は2035年5月31日です。有償のELSを利用すれば2038年5月まで延長できます。本記事では、RHEL 10のサポート終了日と、RHEL 9からの移行時の注意点について解説します。
Red Hat Enterprise Linux 10 のサポート期限一覧
| サポート種別 | 開始日 | サポート終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| Full Support | 2025-05-20 | 2030-05-31 | サポート中 |
| Maintenance Support | 2030-06-01 | 2035-05-31 | 今後提供 |
| Extended Life Cycle Support(ELS) ※有償オプション |
2035-06-01 | 2038-05-31 | 今後(有償) |
RHEL 10 のサポートポリシー
RHELは固定ライフサイクルポリシーに従い、Full Support(5年間)とMaintenance Support(5年間)の計10年が標準サポートです。RHEL 10は2025年5月にリリースされたばかりであり、現在Full Supportの期間中です。EUS(Extended Update Support)により偶数マイナー版を最長24ヶ月継続利用することも可能です(10.0はEUS対象外、10.2以降が対象予定)。
基本情報
- 最新バージョン: 10.1(2025年11月12日リリース)
- カーネルバージョン: Linux 6.12系
- Python: 3.12(デフォルト)
- OpenSSL: 3.5(ポスト量子暗号対応:ML-KEM, ML-DSA, SLH-DSA)
- GCC: 14.2
- x86 CPU要件: x86-64-v3以上(AVX・AVX2必須)※RHEL 9の-v2から引き上げ
- 対応アーキテクチャ: x86_64(v3以上), aarch64, s390x, ppc64le
- サブスクリプション: Standard または Premium(年間契約)
RHEL 10 の主な特徴
RHEL 10は大幅にコンポーネントが刷新されており、ポスト量子暗号対応・最新カーネル・AI統合機能が特徴です。特にx86-64-v3へのCPU要件引き上げとOpenSSL 3.5のポスト量子暗号は、長期的なシステム設計に影響します。
RHEL 9 との主な違い
| 項目 | RHEL 9 | RHEL 10 |
|---|---|---|
| カーネル | 5.14 | 6.12 |
| OpenSSL | 3.0.1 | 3.5(ポスト量子暗号対応) |
| Python(デフォルト) | 3.9 | 3.12 |
| GCC | 11 | 14.2 |
| x86 CPU要件 | x86-64-v2以上 | x86-64-v3以上(必須) |
| AI統合 | なし | RHEL Lightspeed(AIアシスタント)搭載 |
| Node.js | 16 | 22 |
2030年5月以降のリスク
RHEL 10のFull Supportは2030年5月31日に終了します。その後のMaintenance Support期間(〜2035年5月)はセキュリティ更新とバグ修正のみとなります。現時点ではEOLまで十分な余裕がありますが、2035年以降も事業継続するシステムの設計段階でライフサイクルを考慮しておくことを推奨します。
1. Full Support終了後の機能停止(2030年5月)
2030年6月以降のMaintenance Supportフェーズでは、新機能・新ハードウェア対応・パフォーマンス改善は提供されなくなります。最新のクラウドサービスやソフトウェアのRHEL 10対応が終了し始めるため、次期バージョンへの移行計画が必要になります。
2. Maintenance Support終了後の完全停止(2035年5月)
2035年5月以降はセキュリティパッチも提供されなくなります(ELS契約なしの場合)。EOLの5年前から後継OSの評価と移行計画を立てることを推奨します。
推奨される移行先
RHEL 10はリリースされたばかりであり、現時点では移行より安定運用が優先です。将来のRHEL 11(リリース時期未定)の動向を定期的に確認し、Full Supportの終了(2030年)に合わせて計画を立てることを推奨します。
RHEL 11以降(将来・リリース時期未定)
- リリース予定: 時期未定(RHEL 10の次世代)
- メリット: RHELシリーズの継続。既存のサポート契約・ノウハウを活用できる
- 適したケース: 長期的なインフラロードマップの計画として想定
Rocky Linux 10(無償の代替)
- 完全EOL: 2035年5月31日(RHEL 10と同一)
- メリット: RHEL 10と100%互換。無償・商用利用可。x86-64-v3・ポスト量子暗号対応も同一
- 適したケース: Red Hatサブスクリプションのコストを削減しつつRHEL 10互換環境を維持したい場合
移行時の注意点(RHEL 9 → 10)
x86-64-v3 CPU要件(重要)
RHEL 10はx86-64-v3以上のCPUが必須です(AVX・AVX2命令セットが必要)。RHEL 9まで対応していたx86-64-v2(SSE4.2のみ)のCPUでは動作しません。移行前に必ずサーバーのCPUがx86-64-v3要件を満たすか確認してください。一般的に2012年以降のIntel Haswellおよび同世代以降のAMD CPUはv3に対応しています。
Python 3.9 → 3.12 の変更
RHEL 10ではPython 3.12がデフォルトです。3.9から3.12ではdistutilsの標準ライブラリからの削除・型ヒント構文の変更・一部の非推奨APIの削除が含まれます。既存のPythonアプリケーション・Ansibleプレイブック・運用スクリプトの3.12対応を事前に確認してください。
OpenSSL 3.0 → 3.5 の変更
RHEL 10のOpenSSL 3.5ではポスト量子暗号(ML-KEM・ML-DSA・SLH-DSA)が追加されています。OpenSSL 3.0との後方互換性は基本的に維持されていますが、暗号ポリシーやTLS設定に依存するアプリケーションは動作確認が必要です。
Leappによるインプレースアップグレード
RHEL 9 → RHEL 10 のインプレースアップグレードについては、Leappツールでの対応が進められています。RHEL 10リリース初期のため手順が整備途上の部分があります。本番環境への適用前に、公式ドキュメントの最新状況を確認することを推奨します。
物理サーバーの更新か、VPSへの移行か
RHEL 9からRHEL 10への移行でx86-64-v3のCPU要件が引き上げられたことにより、古い物理サーバーではOSのアップグレードができないケースが生じます。このタイミングでVPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討することで、ハードウェア更新とOS移行を同時に解決できます。
VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。
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公式情報
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