RHEL 8

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Red Hat Enterprise Linux 8(RHEL 8)は、2019年5月7日にリリースされたエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。Full Supportは2024年5月31日に終了しており、現在はMaintenance Support(セキュリティ更新とバグ修正のみ)の期間中です。完全なサポート終了(Maintenance Support EOL)は2029年5月31日で、有償のELSを利用すれば2032年5月まで延長できます。本記事では、RHEL 8のサポート状況と、RHEL 9へのアップグレード方法について解説します。

Red Hat Enterprise Linux 8 のサポート期限一覧

サポート種別 開始日 サポート終了日 現在のステータス
Full Support 2019-05-07 2024-05-31 終了済み
Maintenance Support 2024-06-01 2029-05-31 サポート中
Extended Life Cycle Support(ELS)
※有償オプション
2029-06-01 2032-05-31 今後(有償)

RHEL 8 のサポートポリシー
RHELは固定ライフサイクルポリシーに従い、Full Support(5年間)とMaintenance Support(5年間)の計10年が標準サポートです。RHEL 8のFull Supportは2024年5月に終了しており、現在のMaintenance Supportではセキュリティ更新とバグ修正が引き続き提供されています。また特定のマイナー版を最長24ヶ月継続利用できるExtended Update Support(EUS)も提供されています(偶数マイナー版が対象)。

基本情報・EUS(拡張アップデートサポート)

  • 最終マイナーバージョン: 8.10(2024年5月22日リリース・最後のマイナー版)
  • カーネルバージョン: Linux 4.18系
  • Python: 3.6(デフォルト)、3.8/3.9/3.11/3.12も利用可能
  • OpenSSL: 1.1.1(TLS 1.3対応)
  • EUS対象版: 8.1, 8.2, 8.4, 8.6, 8.8(偶数マイナー版のみ)
  • EUSサポート期間: 各対象版から最長24ヶ月
  • 対応アーキテクチャ: x86_64, aarch64, s390x, ppc64le
  • サブスクリプション: Standard または Premium(年間契約)
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RHEL 8 の主な特徴

RHEL 8はCentOS 8/Stream 8とのライフサイクルが分岐した世代でもあります。CentOS 8が2021年12月にEOLとなった際、多くの企業がRHEL 8・Rocky Linux 8・AlmaLinux 8への移行を選択しました。RHEL 7から大幅にコンポーネントが更新され、Python 3系・OpenSSL 1.1.1・Podmanによるコンテナ管理が標準化されました。

主要コンポーネント

  • カーネル: Linux 4.18(RHEL 7の3.10から大幅更新)
  • OpenSSL: 1.1.1(TLS 1.3対応、1.0.2から更新)
  • Python: 3.6がデフォルト(Python 2.7も利用可能だが非推奨)
  • コンテナ: Podman・Buildah・Skopeoを標準採用(Docker不要)
  • パッケージ管理: dnf(yumからの移行)
  • SELinux: デフォルト有効(enforcingモード)

2029年5月以降のリスク

RHEL 8のMaintenance Supportは2029年5月31日に終了します。Full Supportはすでに2024年5月に終了しており、現在は新機能追加やハードウェア対応は提供されていません。2029年に向けた計画的な移行が求められます。

1. Maintenance Support終了後のセキュリティリスク

2029年5月以降はセキュリティパッチが提供されなくなります(ELS契約なしの場合)。カーネル・OpenSSL・各種システムライブラリへの脆弱性が放置されるため、外部公開サービスへのリスクが急増します。

2. Full Support終了によるバグ修正の制限(現在進行中)

2024年6月以降のMaintenance Supportフェーズでは、新機能・新ハードウェア対応・パフォーマンス改善は提供されません。新しいクラウドサービスやソフトウェアへの対応が受けられなくなるため、システムの陳腐化が進みます。

3. コンプライアンス上のリスク

PCI DSS・ISMS・SOC 2などの認証では、EOSとなったOSの継続利用に対して追加の補完策が求められます。2029年5月のMaintenance Support終了前に移行を完了させることで、審査上のリスクを回避できます。

推奨される移行先

RHEL 8からの移行先はRHEL 9が最有力です。Leappツールを使用することでRHEL 8.8または8.10からRHEL 9へのインプレースアップグレードが公式サポートされています。無償代替を検討する場合はRocky Linux 9またはAlmaLinux 9が選択肢です。

RHEL 9(推奨・商用サポートが必要な場合)

  • Full Support終了: 2027年5月31日 / 完全EOL: 2032年5月31日
  • メリット: Leappによるインプレースアップグレードが公式サポート(8.8→9または8.10→9.x)。Red Hatの商用サポート継続
  • 注意点: OpenSSL 1.1.1 → 3.0への移行による非互換性の確認が必要
  • 適したケース: 現在RHEL 8をサブスクリプション利用中で、サポートを継続したい場合

Rocky Linux 9(無償の代替)

  • 完全EOL: 2032年5月31日
  • メリット: RHEL 9と100%互換。無償・商用利用可。サブスクリプション不要
  • 注意点: RHEL 8からの公式インプレースアップグレードパスなし。クリーンインストールが推奨
  • 適したケース: コスト削減を優先し、Red Hatサブスクリプションを終了する場合

AlmaLinux 9(無償の代替)

  • 完全EOL: 2032年5月31日
  • メリット: ELevateツールによるAlmaLinux 8→9のインプレースアップグレードが公式サポートされている
  • 適したケース: 無償環境でインプレースアップグレードを使って移行コストを最小化したい場合

移行時の注意点

Leappツールによる8→9インプレースアップグレード
RHEL 8.8またはRHEL 8.10からRHEL 9へのインプレースアップグレードがLeappユーティリティで公式サポートされています。アップグレード前にleapp preupgradeを実行してプレアップグレードレポートを確認し、問題点をすべて解消してから本番アップグレードを実施してください。Leappはインターネット接続またはRHNサブスクリプションが必要です。

OpenSSL 1.1.1 → 3.0 の変更
RHEL 9ではOpenSSL 3.0が採用されており、1.1.1とのAPI非互換性があります。OpenSSLに依存するアプリケーション(Python・Ruby・独自ビルドのソフトウェア)は、OpenSSL 3.0対応版への更新が必要です。特に古いバージョンのOpenSSL向けにビルドされた独自ライブラリのリビルドが必要になる場合があります。

Python 3.6 → 3.9 の変更
RHEL 9のデフォルトPythonは3.9です。Python 3.6で動作していたコードの大半は3.9でも動作しますが、型ヒント構文の変更・一部の非推奨APIの削除に注意が必要です。f-string・walrus演算子など3.8以降の新機能も利用可能になります。

Podmanによるコンテナ管理
RHEL 8からRHEL 9でもPodmanが標準のコンテナランタイムです。Dockerを利用している環境はRHEL 8移行時にすでにPodmanへの対応が求められましたが、RHEL 9でもこの方針が継続されます。Docker Composeを利用している場合はPodman Composeへの移行が必要です。

物理サーバーの更新か、VPSへの移行か

RHEL 8を物理サーバーで運用している場合、2029年のMaintenance Support終了はハードウェアの更新サイクルと重なる可能性があります。OSの移行とあわせてVPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討することで、今後のサーバー保守コストを大幅に削減できます。

VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。

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