AlmaLinux 9(コードネーム: Moss Jungle Cat)は、2022年5月26日にリリースされたエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)9とのABI互換性を持ち、AlmaLinux 8の後継版です。Active Supportは2027年5月31日まで、完全なサポート終了(Security Support EOL)は2032年5月31日です。ELevateツールによるAlmaLinux 8からのインプレースアップグレードが公式サポートされている点が大きな特徴です。本記事では、AlmaLinux 9のサポート終了日と、AlmaLinux 8からの移行方法について解説します。
AlmaLinux 9 のサポート期限一覧
| サポート種別 | 開始日 | サポート終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| Active Support | 2022-05-26 | 2027-05-31 | サポート中 |
| Security Support(セキュリティ更新のみ) | 2027-06-01 | 2032-05-31 | 今後提供 |
AlmaLinux 9 のサポートポリシー
AlmaLinux 9はRHEL 9のライフサイクルに準拠した10年間のサポートが提供されます。Active Support期間(〜2027年5月)はバグ修正・機能追加・セキュリティ更新がすべて提供されます。その後のSecurity Support期間(〜2032年5月)はセキュリティ更新のみとなります。マイナーバージョンポリシーは新版リリース時に旧マイナー版が即座にEOLとなる点はRHEL・Rocky Linuxと同様です。
基本情報
- 最新バージョン: 9.7 “Moss Jungle Cat”(2025年11月17日リリース)
- カーネルバージョン: Linux 5.14系
- Python: 3.9(デフォルト)、3.11/3.12も利用可能
- OpenSSL: 3.0(TLS 1.3・最新暗号スイート対応)
- 互換性方針: RHEL 9とのABI互換
- 対応アーキテクチャ: x86_64, aarch64, s390x, ppc64le
- ライセンス: 無償・商用利用可
- 開発元: AlmaLinux OS Foundation
- 後継製品: AlmaLinux 10(Security Support 2035年5月まで)
AlmaLinux 9 の主な特徴
AlmaLinux 9はRHEL 9との互換性を維持しつつ、ELevateによるインプレースアップグレード対応がAlmaLinux最大の差別化ポイントです。AlmaLinux 8からAlmaLinux 9へのインプレースアップグレードが公式サポートされており、Rocky Linux 8からの移行(クリーンインストール必須)と比較して大幅に移行コストを削減できます。
Rocky Linux 9 との比較
| 項目 | AlmaLinux 9 | Rocky Linux 9 |
|---|---|---|
| 互換性方針 | ABI互換(独自改善あり) | バグフォーバグ互換 |
| インプレースアップグレード(8→9) | ELevateで公式対応 | 非推奨(クリーンインストール推奨) |
| サポート終了日 | 2032年5月31日 | 2032年5月31日 |
| ガバナンス | AlmaLinux OS Foundation | Rocky Enterprise Software Foundation |
2027年5月以降のリスク
AlmaLinux 9のActive Supportは2027年5月31日に終了します。その後のSecurity Support期間(〜2032年5月)はセキュリティ更新のみとなり、新機能・バグ修正・新ハードウェア対応は提供されません。現時点から移行計画を立てておくことを推奨します。
1. Active Support終了後の機能停止
2027年6月以降のSecurity Supportフェーズでは、新機能・新しいハードウェアドライバ・パフォーマンス改善は提供されなくなります。最新のクラウドサービスや各種ミドルウェアのAlmaLinux 9対応が打ち切られる時期も重なるため、システムの陳腐化が進みます。
2. Security Support終了後のセキュリティリスク(2032年5月)
2032年5月以降はセキュリティパッチも提供されなくなります。EOLの5年前から後継OSの評価を開始し、移行計画を立てておくことで、期限直前の混乱を防げます。
3. コンプライアンス上のリスク
PCI DSS・ISMS・SOC 2などの認証では、EOSとなったOSの継続利用に対して追加の補完策が求められます。2032年以降も認証を維持するためには、Security Support終了前に次期バージョンへの移行を完了させることが推奨されます。
推奨される移行先
AlmaLinux 9のActive Supportは2027年まで継続されており、現時点では安定運用が優先です。ただし2027年のActive Support終了に向けて、今からAlmaLinux 10への移行計画を検討しておくことを推奨します。ELevateによる9→10インプレースアップグレードが対応済みです。
AlmaLinux 10(推奨)
- Active Support終了: 2030年5月31日 / 完全EOL: 2035年5月31日
- 最新版: 10.1(2025年11月リリース)
- メリット: ELevateによるインプレースアップグレードが対応済み。Linux 6.12カーネル・OpenSSL 3.5・Python 3.12・ポスト量子暗号対応。x86-64-v2のサポートを継続(Rocky Linux 10・RHEL 10では非対応)
- 適したケース: 古いハードウェアを継続利用しながらOSを更新したい場合
Rocky Linux 9(同世代継続)
- 完全EOL: 2032年5月31日(AlmaLinux 9と同一)
- メリット: RHEL 9とのバグフォーバグ互換を重視する場合の代替
- 注意点: AlmaLinux 9からRocky Linux 9への移行はクリーンインストールが必要
移行時の注意点(AlmaLinux 8 → 9)
ELevateによるインプレースアップグレード手順
AlmaLinux 8からAlmaLinux 9へはELevateツールでインプレースアップグレードが可能です。ELevateリポジトリをインストール後、leapp preupgradeでプレアップグレードレポート(/var/log/leapp/leapp-report.txt)を生成し、指摘事項をすべて解消してからleapp upgradeを実行してください。アップグレードは2回のリブートで完了します。本番環境への適用前に、必ずバックアップまたはスナップショットを取得してください。
OpenSSL 1.1.1 → 3.0 の変更
AlmaLinux 9ではOpenSSL 3.0が採用されており、1.1.1とのAPI非互換性があります。OpenSSLに依存するアプリケーション(Python・Ruby・Node.js・独自ビルドのソフトウェア)は、OpenSSL 3.0対応版への更新が必要です。TLS 1.0/1.1はAlmaLinux 9ではデフォルト無効のため、古いクライアントとの通信に影響が出る場合があります。
Python 3.6 → 3.9 の変更
AlmaLinux 9のデフォルトPythonは3.9です。Python 3.6のまま動作していたコード・スクリプト・Ansibleプレイブックの3.9互換性を事前に確認してください。Python 2.7は利用不可となります。
ネットワーク設定の移行
AlmaLinux 9ではNetworkManagerのデフォルト設定がキーファイル形式(/etc/NetworkManager/system-connections/)に変更されています。ELevateは自動変換を試みますが、複雑なネットワーク設定は手動での確認が必要です。アップグレード後にネットワーク接続を必ず確認してください。
物理サーバーの更新か、VPSへの移行か
AlmaLinux 8/9を物理サーバーで運用している場合、OSの移行とあわせてVPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討することで、今後のサーバー保守コストを大幅に削減できます。特にAlmaLinux 10への移行でx86-64-v2が引き続きサポートされるため、古いサーバーのまま移行を続けることも技術的には可能ですが、VPS移行による保守コスト削減も有力な選択肢です。
VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。
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