AlmaLinux 10(コードネーム: Purple Lion)は、2025年5月27日にリリースされたエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)10とのABI互換性を持ち、AlmaLinux 9の後継版です。Active Supportは2030年5月31日まで、完全なサポート終了(Security Support EOL)は2035年5月31日です。Rocky Linux 10やRHEL 10がx86-64-v3を必須とする中、AlmaLinux 10はx86-64-v2(旧世代CPU)を引き続きサポートしている点が大きな特徴です。本記事では、AlmaLinux 10のサポート終了日と、AlmaLinux 9からの移行方法について解説します。
AlmaLinux 10 のサポート期限一覧
| サポート種別 | 開始日 | サポート終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| Active Support | 2025-05-27 | 2030-05-31 | サポート中 |
| Security Support(セキュリティ更新のみ) | 2030-06-01 | 2035-05-31 | 今後提供 |
AlmaLinux 10 のサポートポリシー
AlmaLinux 10はRHEL 10のライフサイクルに準拠した10年間のサポートが提供されます。Active Support期間(〜2030年5月)はバグ修正・機能追加・セキュリティ更新がすべて提供されます。その後のSecurity Support期間(〜2035年5月)はセキュリティ更新のみとなります。マイナーバージョンは新版リリース時に旧マイナー版が即座にEOLとなります(10.0は10.1リリース時にEOL済み)。
基本情報
- 最新バージョン: 10.1 “Heliotrope Lion”(2025年11月24日リリース)
- カーネルバージョン: Linux 6.12系
- Python: 3.12(デフォルト)、3.14も利用可能
- OpenSSL: 3.5(ポスト量子暗号対応:ML-KEM, ML-DSA, SLH-DSA)
- OpenSSH: 9.9(AlmaLinux 9の8.7から大幅更新)
- x86 CPU要件: x86-64-v2以上をサポート(RHEL 10・Rocky Linux 10はv3以上必須)
- 対応アーキテクチャ: x86_64(v2以上), aarch64(セキュアブート対応), s390x, ppc64le
- ライセンス: 無償・商用利用可
- 開発元: AlmaLinux OS Foundation
AlmaLinux 10 の主な特徴
AlmaLinux 10はRHEL 10をベースとしつつ、独自の改善を加えています。最も注目すべき点は、RHEL 10・Rocky Linux 10がx86-64-v3以上のCPUを必須とする中、AlmaLinux 10がx86-64-v2(2013年以前のサーバーでも動作するCPU)を引き続きサポートしていることです。古いハードウェアを継続利用しながらOSをアップグレードしたい場合に有力な選択肢です。
Rocky Linux 10 / RHEL 10 との比較
| 項目 | AlmaLinux 10 | Rocky Linux 10 / RHEL 10 |
|---|---|---|
| x86 CPU要件 | x86-64-v2以上(旧CPU対応) | x86-64-v3以上のみ |
| 9→10インプレースアップグレード | ELevateで対応済み | 整備途上(Leapp対応予定) |
| カーネル | 6.12 | 6.12 |
| OpenSSL | 3.5 | 3.5 |
| Python(デフォルト) | 3.12 | 3.12 |
| ARM セキュアブート | 対応 | 対応 |
2030年5月以降のリスク
AlmaLinux 10のActive Supportは2030年5月31日に終了します。その後のSecurity Support期間(〜2035年5月)はセキュリティ更新のみとなります。現時点ではEOLまで十分な余裕がありますが、長期運用システムの設計段階でライフサイクルを考慮しておくことを推奨します。
1. Active Support終了後の機能停止(2030年5月)
2030年6月以降のSecurity Supportフェーズでは、新機能・新ハードウェア対応・パフォーマンス改善は提供されなくなります。次期バージョン(AlmaLinux 11以降)への移行計画を立てておくことが重要です。
2. Security Support終了後の完全停止(2035年5月)
2035年5月以降はセキュリティパッチも提供されなくなります。EOLの5年前から後継OSの評価を開始し、移行計画を立てることで期限直前の混乱を防げます。
推奨される移行先
AlmaLinux 10はリリースされたばかりであり、現時点では移行より安定運用が優先です。将来のAlmaLinux 11(リリース時期未定)の動向を定期的に確認し、Active Supportの終了(2030年)に合わせて計画を立てることを推奨します。
AlmaLinux 11以降(将来・リリース時期未定)
- リリース予定: 時期未定(RHEL 11のリリース後)
- メリット: AlmaLinuxシリーズの継続。ELevateによるインプレースアップグレードが期待される
- 適したケース: 長期的なインフラロードマップの計画として想定
Rocky Linux 10(同世代の代替)
- 完全EOL: 2035年5月31日(AlmaLinux 10と同一)
- メリット: RHEL 10とのバグフォーバグ互換を重視する場合の選択肢
- 注意点: x86-64-v3以上が必須のため、古いサーバーでは動作しない場合がある
移行時の注意点(AlmaLinux 9 → 10)
ELevateによるインプレースアップグレード(対応済み)
AlmaLinux 9からAlmaLinux 10へのインプレースアップグレードはELevate NGとして対応済みです。leapp preupgradeでプレアップグレードレポートを生成し、指摘事項を解消してからleapp upgradeを実行してください。アップグレードは2回のリブートで完了します。本番環境への適用前に、必ずバックアップまたはスナップショットを取得してください。
x86-64-v2 のサポート継続(AlmaLinux 10の重要な優位点)
AlmaLinux 10は古い世代のCPU(x86-64-v2、AVX命令なし)を引き続きサポートしています。2012年以前のIntel Sandy Bridge世代・AMD同世代のサーバーでも動作するため、ハードウェア更新を行わずにOSのアップグレードが可能です。ただし将来のAlmaLinux 11ではv2サポートが終了する可能性があるため、長期的にはハードウェア更新の計画も立てることを推奨します。
Python 3.9 → 3.12 の変更
AlmaLinux 10ではPython 3.12がデフォルトです。3.9から3.12ではdistutilsの削除・型ヒント構文の変更・一部の非推奨APIの削除が含まれます。既存のPythonアプリケーション・Ansibleプレイブック・運用スクリプトの3.12対応を事前に確認してください。
OpenSSL 3.0 → 3.5 の変更
AlmaLinux 10のOpenSSL 3.5ではポスト量子暗号(ML-KEM・ML-DSA・SLH-DSA)が追加されています。OpenSSL 3.0との後方互換性は基本的に維持されていますが、暗号ポリシー設定に依存するアプリケーションは動作確認が必要です。
物理サーバーの更新か、VPSへの移行か
AlmaLinux 10はx86-64-v2の旧世代CPUを引き続きサポートするため、既存の物理サーバーをそのまま活用しながらOSをアップグレードできます。ただし、ハードウェアの保守期限・性能面での限界も考慮し、VPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討することで、今後の保守コストを大幅に削減できる場合があります。
VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。
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