Rocky Linux 8

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Rocky Linux 8は、2021年5月1日にリリースされたエンタープライズ向けLinuxディストリビューションです。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)8と100%のバイナリ互換性を持ち、CentOS Linuxの代替として多くの日本企業に採用されています。Active Supportは2024年5月31日に終了しており、現在はMaintenance Support(セキュリティ更新のみ)の期間中です。完全なサポート終了(EOL)は2029年5月31日です。本記事では、Rocky Linux 8のサポート終了日と、Rocky Linux 9への移行方法について解説します。

Rocky Linux 8 のサポート期限一覧

サポート種別 開始日 サポート終了日 現在のステータス
Active Support 2021-05-01 2024-05-31 終了済み
Maintenance Support(セキュリティ更新のみ) 2024-06-01 2029-05-31 サポート中

Rocky Linux 8 のサポートポリシー
Rocky Linux 8はRHEL 8のライフサイクルに準拠し、リリースから10年間のサポートが提供されます。最初の5年間(〜2024年5月)がActive Supportで、バグ修正・機能追加・セキュリティ更新がすべて提供されます。その後の5年間(〜2029年5月)はMaintenance Supportで、セキュリティ更新のみが提供されます。また、マイナーバージョンのポリシーに注意が必要で、新しいマイナー版がリリースされると旧マイナー版は即座にサポート終了となります(現在の最終マイナー版は8.10)。

基本情報

  • 最新バージョン: 8.10(2024年5月31日リリース・最終マイナー版)
  • カーネルバージョン: Linux 4.18(RHEL 8と同一)
  • RHEL互換性: RHEL 8と100%バイナリ互換(bug-for-bug compatible)
  • 対応アーキテクチャ: x86_64, aarch64, s390x, ppc64le
  • ライセンス: 無償・商用利用可
  • 開発元: Rocky Enterprise Software Foundation(RESF)
  • 後継製品: Rocky Linux 9(Active Support 2027年5月まで、完全EOL 2032年5月)

Rocky Linux 8 の主な特徴

Rocky Linuxは、CentOS Linuxの創設者であるGregory Kurtzerが、Red HatによるCentOS 8のCentOS Stream化(2020年12月発表)を受けて立ち上げたプロジェクトです。「企業がいつでも利用できる、コミュニティ主導の本物のエンタープライズOS」を目標とし、CIQ・AWS・Google Cloudなどがスポンサーとして参加しています。

RHEL 8との互換性

Rocky Linux 8はRHEL 8と「bug-for-bug compatible」を掲げており、パッケージ構成・設定ファイル・バイナリレベルでの互換性を維持しています。CentOS 8向けに作成された既存の運用スクリプトや設定をそのまま利用できます。ただしRHELのkpatch(ライブカーネルパッチング)はRocky Linux 8では提供されていない点に注意が必要です。

マイナーバージョンポリシー

Rocky Linux 8では、新しいマイナーバージョン(例: 8.9 → 8.10)がリリースされると、旧マイナーバージョン(8.9以前)は即座にサポート終了となります。RHELのExtended Update Support(EUS)のような複数マイナー版の並行サポートはありません。現在8.10が最終マイナーバージョンであり、今後新しいマイナー版はリリースされません。

2029年5月以降のリスク

Rocky Linux 8のMaintenance Supportは2029年5月31日に完全終了します。また現時点(2024年5月以降)でActive Supportはすでに終了しており、バグ修正や機能更新は提供されていません。移行を先延ばしにするほど、以下のリスクが蓄積されます。

1. セキュリティ脆弱性の放置

2029年5月のMaintenance Support終了後は、セキュリティパッチが一切提供されなくなります。Webサーバー・データベース・SSHなど外部公開サービスを運用している場合、既知のCVEに対するパッチが適用されないまま運用を続けることになり、攻撃リスクが急増します。

2. エコシステムサポートの打ち切り

各種ミドルウェア・クラウドサービス・監視ツールのベンダーは、OSのEOL前後から対応バージョンの打ち切りを順次進めます。DockerイメージのベースOS・Ansibleモジュール・監視エージェントなど、Rocky Linux 8向けのサポートが段階的に縮小されます。

3. コンプライアンス上のリスク

PCI DSS・ISO 27001・SOC 2などのセキュリティ認証では、EOSとなったOSの継続利用に対して追加の補完策(コントロール)の説明が求められます。クラウドベンダーの監査レポートでもEOL OSは要注意フラグが付くため、審査・更新コストが増大します。

推奨される移行先

Rocky Linux 8からの移行先は、Rocky Linux 9が最も自然な選択肢です。ただし公式にはインプレースアップグレード(8→9)は推奨されておらず、クリーンインストールが標準手順です。移行先の選定は、既存のアプリケーションスタックとのライフサイクル整合性も考慮して判断してください。

Rocky Linux 9(推奨)

  • Active Support終了: 2027年5月31日 / 完全EOL: 2032年5月31日
  • 最新版: 9.7(2025年12月リリース)
  • メリット: RHEL 9完全互換。Linux 5.14カーネル。OpenSSL 3.0・GCC 11採用。Peridotビルドシステムによりリリースサイクルが改善
  • 注意点: 公式インプレースアップグレードは非推奨。クリーンインストール後に設定・データを移行する手順が推奨される

AlmaLinux 9

  • 完全EOL: 2032年5月31日(RHEL 9に準拠)
  • メリット: RHEL 9互換の別実装。ELevateツールによるAlmaLinux 8→9のインプレースアップグレードが公式サポートされている(Rocky Linux 8からは非推奨)
  • 適したケース: インプレースアップグレードで移行コストを最小化したい場合

Red Hat Enterprise Linux(RHEL)

  • 完全EOL: RHEL 9は2032年5月31日
  • メリット: 商用サポート付き。Extended Update Support(EUS)で特定マイナー版の長期サポートが可能。kpatchによるライブカーネルパッチング対応
  • 適したケース: 商用サポートが必要な場合、医療・金融など高い信頼性が求められる業種

移行時の注意点

インプレースアップグレードは非推奨
Rocky Linux 8 から Rocky Linux 9 へのインプレースアップグレードは公式に推奨されていません。かつてELevate(AlmaLinux主導のツール)がRocky 8→9の移行に対応していましたが、2025年以降は非対応となっています。本番環境への影響を最小化するため、クリーンインストール後にアプリケーション・設定・データを段階的に移行する手順を推奨します。

カーネル 4.18 → 5.14 の変更
Rocky Linux 9ではカーネルが5.14に更新されます。カーネルモジュール(独自ドライバ等)を利用している場合は、Rocky Linux 9対応版の確認が必要です。古いハードウェア向けのドライバがカーネル5.14で削除されているケースもあります。

OpenSSL 1.1.1 → 3.0 の変更
Rocky Linux 9ではOpenSSL 3.0が採用されており、1.1.1とはAPIの非互換性があります。OpenSSLに依存するアプリケーション(Python・Ruby・Node.jsなど)は、OpenSSL 3.0対応版への更新が必要です。移行前に各アプリケーションの対応状況を確認してください。

ネットワーク設定の変更
Rocky Linux 9ではNetworkManagerのデフォルト設定がキーファイル形式に変更されています。Rocky Linux 8でifcfgファイル形式(/etc/sysconfig/network-scripts/)でネットワークを管理していた場合、Rocky Linux 9への移行時に設定形式の変換が必要です。

Python バージョンの確認
Rocky Linux 8のデフォルトPythonは3.6/3.8/3.9が選択可能でした。Rocky Linux 9では3.9がデフォルトとなっています。独自のPythonアプリケーションやパッケージが3.9以降に対応しているか、事前に確認してください。

物理サーバーの更新か、VPSへの移行か

Rocky Linux 8を物理サーバーで運用している場合、2029年のEOLはハードウェアの更新サイクルと重なる可能性があります。OSの移行とあわせてVPS(仮想プライベートサーバー)への移行を検討することで、今後のサーバー保守コストを大幅に削減できます。

VPS移行により、ハードウェア保守からの解放と柔軟なスケールアップが可能になります。初期費用なしで最新OS環境を構築でき、バックアップや監視もクラウド側のサービスを活用できます。

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公式情報