PostgreSQL 14は2021年9月30日にリリースされたメジャーバージョンです。PostgreSQL Global Development Groupのポリシーにより、リリースから5年後の2026年11月12日にサポートが終了します。残り約6ヶ月となっており、PostgreSQL 17または18への移行計画を今すぐ立てることを推奨します。本記事では、PostgreSQL 14のサポート終了日と、pg_upgradeを使った移行手順の概要を解説します。
PostgreSQL 14 のサポート期限一覧
| バージョン | リリース日 | EOL日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| PostgreSQL 12 | 2019-10-03 | 2024-11-21 | 終了済み |
| PostgreSQL 13 | 2020-09-24 | 2025-11-13 | 終了済み |
| PostgreSQL 14(対象) | 2021-09-30 | 2026-11-12 | 残り約6ヶ月 |
| PostgreSQL 15 | 2022-10-13 | 2027-11-11 | サポート中 |
| PostgreSQL 16 | 2023-09-14 | 2028-11-09 | サポート中 |
| PostgreSQL 17(推奨) | 2024-09-26 | 2029-11-08 | サポート中 |
| PostgreSQL 18(最新) | 2025-09-25 | 2030-11-14 | サポート中 |
PostgreSQL のサポートポリシー
PostgreSQL Global Development Group は、メジャーバージョンのリリースから5年間サポートを提供します。サポート期間中は毎年秋(11月頃)に全サポート対象バージョンの同時パッチリリースが行われます。延長サポートオプションは存在せず、EOL 日を過ぎると新しいセキュリティパッチは一切提供されなくなります。
基本情報
- リリース日: 2021年9月30日
- 最新パッチバージョン: 14.23
- 後継バージョン: PostgreSQL 17(2024年9月リリース)、PostgreSQL 18(2025年9月リリース)
- 延長サポート: なし(有償オプション不提供)
- 主な新機能: JSON サブスクリプション構文・multirange 型・並列 VACUUM 改善・ストリーミングロジカルレプリケーション・SEARCH/CYCLE 句(再帰 CTE)
- ライセンス: PostgreSQL License(BSD ライクのオープンソース)
EOL 後のリスク
2026年11月12日以降、PostgreSQL 14 に対するセキュリティパッチとバグ修正の提供が完全に停止します。延長サポートオプションは存在しないため、この日が絶対的な期限です。
1. セキュリティパッチの停止
PostgreSQL は年間10件前後の CVE が報告されており、EOL 後はこれらへの対応が停止します。SQL インジェクション・権限昇格・バッファオーバーフロー等の脆弱性が修正されないまま蓄積します。外部からアクセス可能な PostgreSQL インスタンス、または機密データを扱うシステムでは特にリスクが高く、PCI DSS・ISO 27001・SOC 2 の審査でも指摘対象となります。
2. 拡張機能・ドライバーの非対応化
PostGIS・pgvector・pg_partman などの主要拡張機能は、サポート対象バージョンに向けた開発が優先されます。psycopg2・asyncpg(Python)、jdbc(Java)、node-postgres(Node.js)等のドライバーも古いバージョンへの対応を順次縮小します。また、Amazon RDS・Aurora・Azure Database for PostgreSQL・Google Cloud SQL のマネージドサービスも、EOL バージョンの新規インスタンス作成を制限し始めます。
3. 新機能の恩恵を受けられない
PostgreSQL 17 ではインクリメンタルバックアップ・COPY FROM コマンドのパフォーマンス改善・JSON_TABLE 関数の追加など、運用・開発の生産性を高める機能が多数追加されています。PostgreSQL 18 ではさらに非同期 I/O の大幅改善が入っており、重い OLAP クエリの性能向上が見込まれます。14 に留まり続けることでこれらの恩恵を受けられません。
推奨される移行先
PostgreSQL はメジャーバージョン間の移行に pg_upgrade ツールが使えます。14 → 17 への直接アップグレードが可能です。
PostgreSQL 17 — 推奨(実績と安定性)
- リリース日: 2024年9月26日
- EOL: 2029年11月8日
- 最新パッチ: 17.10
- 主な新機能: インクリメンタルバックアップ・COPY の改善・JSON_TABLE・vacuum/analyze の並列処理強化・pg_basebackup の改善
- メリット: リリースから約1年半が経過し実績が豊富。主要拡張機能・クラウドマネージドサービスの対応が充実
- 適したケース: 安定運用を重視する場合、本番環境への早期適用を検討している場合
PostgreSQL 18 — 最長サポート(最新機能)
- リリース日: 2025年9月25日
- EOL: 2030年11月14日
- 最新パッチ: 18.4
- 主な新機能: 非同期 I/O の大幅改善・OAuth 2.0 認証対応・論理レプリケーションの強化・SQL/JSON の全機能対応
- メリット: EOL まで4年以上あり、次回移行までの期間を最大化できる
- 注意点: リリースから日が浅いため、利用する拡張機能・クラウドサービスの対応状況を事前確認
- 適したケース: 移行頻度を減らしたい場合、最新機能を積極活用したい場合
移行時の注意点
pg_upgrade による移行pg_upgrade は PostgreSQL の公式メジャーバージョンアップグレードツールです。14 → 17 への直接アップグレードが可能です。--link オプションを使うとデータファイルのハードリンクで移行時間を大幅短縮できます。移行前に pg_upgrade --check を実行して非互換箇所を事前確認してください。
ロジカルレプリケーションによるゼロダウンタイム移行
停止時間を最小化したい場合は、新バージョンのインスタンスを別途用意し、ロジカルレプリケーションで差分を同期しながらカットオーバーする方法が有効です。pglogical や PostgreSQL 10 以降の組み込みロジカルレプリケーション機能を使って実現できます。
拡張機能の互換性確認
PostGIS・pg_partman・pgvector など拡張機能を利用している場合、移行先バージョンへの対応バージョンが存在するか事前確認が必要です。SELECT * FROM pg_extension; で現在インストール済みの拡張機能をリストアップしてください。
移行期間の目安
残り約6ヶ月(2026年11月12日まで)という状況では、検証環境でのアップグレードテスト→アプリケーション動作確認→本番カットオーバーの3ステップを今から計画し、遅くとも2026年9月中には完了させることを推奨します。
物理サーバーの更新か、マネージドサービスへの移行か
PostgreSQL 14 の EOL を機に、セルフホスト型からクラウドマネージドサービスへの移行を検討する企業も増えています。Amazon Aurora PostgreSQL・Azure Database for PostgreSQL・Google Cloud SQL はバックアップ・フェイルオーバー・パッチ適用を自動化しており、バージョンアップの運用負荷を大幅に削減できます。
VPS 上でセルフホストを継続する場合も、EOL のタイミングで OS も含めた環境の刷新を合わせて検討することで、次回の移行コストを削減できます。