CentOS 7は2014年7月7日にリリースされたRHEL 7ベースのLinuxディストリビューションです。公式サポートは2024年6月30日に終了しており、現在はセキュリティパッチが一切提供されていません。サードパーティのTuxCare ELS(延長ライフサイクルサポート)も2026年6月30日に終了します。まだ移行が完了していない環境は早急な対応が必要です。本記事では、CentOS 7のサポート状況とAlmaLinux 9・Rocky Linux 9への移行手順を解説します。
CentOS 7 のサポート期限一覧
| サポート種別 | 開始日 | 終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| フルサポート(新機能・バグ修正) | 2014-07-07 | 2020-08-06 | 終了済み |
| メンテナンスサポート(セキュリティパッチのみ) | 2020-08-06 | 2024-06-30 | 終了済み |
| TuxCare ELS(サードパーティ有料) | 2024-07-01 | 2026-06-30 | 継続中(まもなく終了) |
CentOS 7 のサポートポリシー
CentOS Linux はRHEL(Red Hat Enterprise Linux)のダウンストリームビルドとして提供されていましたが、Red HatはCentOS Linuxの開発を終了しCentOS Streamへ移行しました。CentOS 7は2024年6月30日をもって公式サポートが完全終了しており、Red Hatからのセキュリティパッチは提供されていません。
基本情報
- リリース日: 2014年7月7日
- 最終バージョン: 7.9.2009(2020年11月リリース)
- EOL日: 2024年6月30日(終了済み)
- ベース: RHEL 7(カーネル 3.10・glibc 2.17)
- 後継製品: AlmaLinux 9・Rocky Linux 9・RHEL 9(RHEL互換)
- 延長サポート: TuxCare ELS(有料、2026年6月30日まで)
TuxCare ELS(延長ライフサイクルサポート)について
TuxCare(CloudLinux社)はCentOS 7向けのELS(Extended Lifecycle Support)を提供しており、公式EOL後もセキュリティパッチを受け取ることができます。ただし、このサポートも2026年6月30日に終了します。
- 提供元: TuxCare(CloudLinux社)— サードパーティ(Red Hat公式ではない)
- 対象: CentOS 7.9(カーネル・glibc・opensslなどの主要パッケージ)
- 終了日: 2026年6月30日(これ以降の延長予定なし)
- 価格: 公式サイトで要確認(サーバー台数・契約年数によって変動)
- 注意: ELS はあくまで移行期間の延命措置。2026年6月30日までに移行を完了させる必要あり
サポート終了後のリスク
ELS未加入の場合はすでにリスク状態です。ELS加入中でも2026年6月30日以降は以下のリスクが生じます。
1. セキュリティ脆弱性の未修正
CentOS 7は古いカーネル(3.10系)・OpenSSL・glibc を搭載しており、公式パッチ終了後に発見された CVE は修正されません。特にWebサーバー・データベース・SSHサービスを公開しているシステムは、未修正の脆弱性が直接攻撃に悪用されるリスクがあります。
2. ソフトウェアエコシステムの非対応化
Python 3.11以降・Node.js 18以降・PHP 8.x・最新のDockerなどは、CentOS 7(glibc 2.17・古いカーネル)ではパッケージとして提供されなくなっています。アプリケーションのモダナイズが必要になった際、OSの制約がボトルネックになります。
3. コンプライアンスリスク
PCI DSS・SOC 2・ISO 27001等の審査ではEOL OSの使用は指摘対象です。クラウドサービス・決済系システム・医療情報システムを運用している場合、監査でのリスク指摘・認証取り消しにつながる可能性があります。
推奨される移行先
CentOS 7からの移行先はRHEL 7互換の後継ディストリビューションが最もスムーズです。ELevateツールを使うとインプレース(OSを再インストールせずに)移行できます。
AlmaLinux 9 — 推奨(RHEL 9互換・無償)
- EOL: 2032年5月31日
- ライセンス: 無償・オープンソース
- 管理: AlmaLinux OS Foundation(CloudLinux出資)
- メリット: RHEL 9とバイナリ互換。商用サポートも提供あり。ELevateで7→8→9へのインプレース移行が可能
- 適したケース: CentOS 7の後継として無償で使える長期サポート環境を求める場合
Rocky Linux 9 — コミュニティ主導の代替
- EOL: 2032年5月31日
- ライセンス: 無償・オープンソース
- 管理: Rocky Enterprise Software Foundation(CentOS共同創設者Greg Kurtzer主導)
- メリット: RHEL 9と高い互換性。ELevateによるインプレース移行対応
- 適したケース: 「CentOS の精神的後継」を求めるコミュニティ重視の環境
RHEL 9 — エンタープライズ向け有償サポート
- EOL: 2032年5月31日
- ライセンス: 有償(Red Hat サブスクリプション)
- メリット: Red Hat公式サポート。認定を必要とするエンタープライズ環境に最適
- 適したケース: 公式SLAと商用サポートが必須の基幹システム
移行時の注意点
ELevateによるインプレース移行
AlmaLinux Projectが提供する ELevate ツールを使うと、CentOS 7 → AlmaLinux 8 → AlmaLinux 9 の順にOSを再インストールせずに移行できます。ただし、カスタムRPMや独自ビルドのパッケージがある場合は移行前に動作確認が必要です。本番環境への適用前に必ずテスト環境での検証を実施してください。
Python・PHP・Rubyのバージョン差異
CentOS 7はPython 2.7・PHP 5.4系がデフォルトですが、AlmaLinux/Rocky Linux 9ではPython 3.11・PHP 8.x がデフォルトになります。アプリケーションコードの互換性を必ず事前確認してください。
SELinux・firewalldの設定見直し
RHEL 9系ではSELinuxのポリシーが厳格化されています。移行後にサービスが起動しない・アクセスできない場合は audit2allow でSELinuxの拒否ログを確認してください。
物理サーバーの更新か、マネージドサービスへの移行か
CentOS 7を稼働させているサーバーは10年以上経過しているケースも多く、ハードウェア障害リスクも高まっています。OSの移行と合わせてVPSやクラウドへの移行を検討することで、インフラ全体の刷新とコスト最適化を同時に実現できます。
AWS・GCP・Azureのクラウドインスタンス、またはVPS上でAlmaLinux 9 / Rocky Linux 9 のクリーンインストールを行い、アプリケーションとデータを移行する方法が最も確実です。