MySQL 9.7 は 2026年4月21日にリリースされた MySQL 9.x 系の LTS(Long-Term Support)バージョンです。Premier Support は 2031年4月21日まで、Extended Support(有償)は 2034年4月21日まで提供されます。MySQL 8.4 LTS を使用している環境の次世代移行先として、またネイティブなベクトル型のサポートを必要とするシステムの選択肢として注目されています。本記事では MySQL 9.7 のサポートスケジュールと MySQL 8.4 からの移行を解説します。
MySQL 9.7 のサポート期限一覧
| サポート種別 | 開始日 | 終了日 | 現在のステータス |
|---|---|---|---|
| Premier Support(バグ修正・セキュリティパッチ・新機能) | 2026-04-21 | 2031-04-21 | サポート中 |
| Extended Support(有償・セキュリティパッチ中心) | 2031-04-22 | 2034-04-21 | 将来(有償) |
MySQL LTS のサポートポリシー
MySQL LTS リリースは Premier Support 5年+Extended Support 3年の合計8年間サポートされます。MySQL 9.7 は LTS バージョンであるため、最長 2034年4月21日まで利用可能です。
MySQL LTS バージョン比較
| バージョン | リリース日 | Premier Support 終了 | Extended Support 終了 |
|---|---|---|---|
| MySQL 8.0(LTS) | 2018-04-08 | 2025-04-30(終了済み) | 2026-04-30(EOL済み) |
| MySQL 8.4(LTS) | 2024-04-30 | 2029-04-30 | 2032-04-30 |
| MySQL 9.7(LTS) | 2026-04-21 | 2031-04-21 | 2034-04-21 |
基本情報
- リリース日: 2026年4月21日(LTS)
- 最新バージョン: 9.7.0
- Premier Support 終了: 2031年4月21日
- Extended Support 終了: 2034年4月21日(Oracle有償サポート契約が必要)
- 後継製品: MySQL 10.x LTS(未発表)
- 主な新機能: ネイティブ VECTOR 型(AI/ベクトル検索対応)・JavaScript ストアドプログラム(MLE:MySQL Nanoserver)・マルチバリューインデックスの強化・InnoDB の改善
MySQL 9.7 の主要な新機能
ネイティブ VECTOR 型(AI・ベクトル検索対応)
MySQL 9.7 では VECTOR 型がネイティブデータ型として追加されました。機械学習モデルの埋め込みベクトル(embedding)をデータベースに格納し、DISTANCE() 関数を使ったベクトル類似検索(ANN: Approximate Nearest Neighbor)が可能になりました。テキスト・画像・音声の類似検索を MySQL 単体で実装でき、別途ベクトルデータベース(Pinecone・Weaviate 等)を用意しなくても済む環境が整います。
-- VECTOR 型のカラム定義
CREATE TABLE documents (
id INT PRIMARY KEY,
content TEXT,
embedding VECTOR(1536) -- 1536次元のベクトル
);
-- コサイン類似度によるベクトル検索
SELECT id, content,
DISTANCE(embedding, :query_vector, 'COSINE') AS similarity
FROM documents
ORDER BY similarity
LIMIT 10;
JavaScript ストアドプログラム(MLE)
MySQL 9.7 では Multilingual Engine(MLE)により、JavaScript でストアドプロシージャ・ストアドファンクションを記述できるようになりました。GraalVM をベースとした実行環境により、従来の SQL/PSM 構文よりも柔軟なロジックをデータベース側で実行できます。
MySQL 8.4 からの移行を検討するタイミング
MySQL 8.4 は Premier Support が 2029年4月まで継続しており、現時点での 9.7 への移行は必須ではありません。ただし、以下のケースでは 9.7 への移行を早期に検討することを推奨します。
1. AI 機能・ベクトル検索を活用したい場合
RAG(Retrieval-Augmented Generation)システムや、テキスト埋め込みを活用したセマンティック検索を MySQL だけで構築したい場合は、9.7 のネイティブ VECTOR 型が有効です。MySQL 8.4 では外部のベクトルデータベースとの組み合わせが必要でしたが、9.7 ではシステムを簡略化できます。
2. MySQL 8.0(EOL済み)からの移行先として
MySQL 8.0 は Extended Support が 2026年4月30日に終了しており、現在はサポート対象外です。8.0 から直接 9.7 に移行することも可能ですが、互換性の観点から 8.4 を経由した段階的な移行を推奨します。
3. 長期サポートを確保したい場合
2031年以降も同一バージョンを継続利用したい場合は、8.4(Extended Support: 2032年4月)よりも 9.7(Extended Support: 2034年4月)の方が2年間余裕があります。
MySQL 8.4 → 9.7 移行時の注意点
mysql_native_password の完全廃止
MySQL 9.0 以降、mysql_native_password 認証プラグインが削除されました。8.4 で移行が完了していない場合は、9.7 アップグレード前に必ず caching_sha2_password または mysql_old_password への切り替えを完了してください。
-- mysql_native_password を使用しているユーザーを確認
SELECT user, host, plugin FROM mysql.user WHERE plugin = 'mysql_native_password';
-- 認証プラグインを変更
ALTER USER 'username'@'host' IDENTIFIED WITH caching_sha2_password BY 'new_password';
インプレースアップグレード
MySQL 8.4 → 9.7 のインプレースアップグレードが可能です。アップグレード前に必ずデータバックアップを取得し、テスト環境での動作確認を実施してください。
物理サーバーの更新か、マネージドサービスへの移行か
MySQL 9.7 の VECTOR 型を活用したい場合も、セルフホストまたは Amazon RDS・Aurora MySQL・Azure Database for MySQL などのマネージドサービスが選択肢になります。マネージドサービスでは MySQL 9.7 の対応状況を各プロバイダーのリリースノートで確認してください。